第34章 青空と君の背中《カラ松END》
一松「ゴミの山って……そんなひどい言い方しなくても……」
僕が思ったとおりのことを口にすると、とたん、カラ松兄さんは、むっとしたように眉を寄せた。
その瞳に、昏い翳りがうまれた。
カラ松「……じゃあ、一松は、さくらにもらったチョコと、さくら以外の女にもらったチョコと、対等の価値があるって言うのか?」
……え? なに? こわい……
カラ松兄さん、なんでそんな顔するの?
今にも掴み掛かってきそうなカラ松兄さんに、僕はすっかり萎縮してしまった。
一松「……そうじゃないけど……」
ぼそぼそと、やっとの思いで答えると、カラ松兄さんは、さっきの恐ろしい顔とは一変して、ぱっといつもの笑顔を浮かべた。
カラ松「だよな〜? さすが、一松。おまえはわかってくれるって信じてたぜ」
一松「うん……」
僕は、何も言い返すことができなかった。
だって……
さっきのカラ松兄さんの目……
あんな目をしたカラ松兄さんは、初めて見た。
答えを間違ったら、殺されかねなかった……
僕は、知っている。
みんなに平等に優しかったカラ松兄さんをこんなふうに変えてしまったのは、さくらの存在だ。
思えば、あのときから、カラ松兄さんはおかしかったんだ。
僕に、「好きな子がいる」と相談を持ちかけてきた、あの日から。