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【おそ松さんR18】君がため

第34章 青空と君の背中《カラ松END》




Side 一松


さくらにチョコレートをもらった。

なんてことはない、バレンタインの義理チョコだ。

いや、さくらのことだから、義理チョコじゃなくて友チョコとして渡してきたのかもしれない。


僕は、さくらにもらったチョコレートを居間のテーブルの上に置いて、シャッターを切った。

本当は、食べずにずっと取っておきたいけれど、さすがに、チョコレートを保存しておくことはできないから、こうして写真にして残しておこうというわけだ。

あー、さくらがつくったチョコか……そう考えただけで、なんかムラムラしてきた。


一松「……ヒヒッ、僕ってほんとクズ」


思わず呟いた、そのとき。


カラ松「ただいまー……って、一松だけか」


タイミング悪く、カラ松兄さんが帰ってきた。


一松「おかえり、カラ松兄さん。今日部活は?」

カラ松「ああ、今日は部活は休みだ」

一松「ふーん……さくらは?」

カラ松「家の用事があるとかで帰っていったぞ」


カラ松兄さんは、僕のとなりに腰をおろして、机の上に紙袋の山を置いた。


一松「うわ……今年もすごいね」

カラ松「ああ、これか…?」


カラ松兄さんは、紙袋の山を一瞥して、嘲るような笑みを浮かべた。


カラ松「……ったく、うざったい連中だよな」

一松「え……?」


思わず絶句する。


うざったい連中……?

なんだ、今の?カラ松兄さんが言ったの……?


カラ松「次から次へと押し寄せてきて、これ食べて、こっちももらって、これも、これも、って……いい加減にしろって言いたかったな」

一松「え……で、でも、カラ松兄さん……いつも、チョコの数は多ければ多いほどいいって……」

カラ松「ああ、それは去年までの話な。今年からは、ちがう」


そう言って、カラ松兄さんは、鞄からチョコレートの包みを取り出した。

それだけが、カラ松兄さんの特別ってこと……?

そのさくらからもらったチョコだけが。


カラ松「俺は、さくらからのチョコしかいらない。他の連中なんて、どうでもいい。このゴミの山だって、迷惑なだけだ」


カラ松兄さんの口から出てくるひどい言葉たちに、僕は息をのんだ。


カラ松兄さん、どうしちゃったの?

こんなの……僕が知っている兄さんじゃない。


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