第33章 誰よりも君が好き《トド松END》
走って、走って、家について、わたしはお手洗いに駆け込んだ。
内側から鍵をしめて、扉に背中をあずけてずるずると座り込む。
涙があふれてきて止まらない……
どうすればいいの……
いや、どうすることもできない。
わたしは、気付くのが遅すぎたんだ……
「トド松くん……」
名前を呼んで膝を抱えたそのときだった。
???「さくらちゃん?」
扉の向こうから、聞き慣れた声がした。
「えっ……トド松くん?」
それは、トド松くんの声だった。
どうして……?
なんでここにトド松くんがいるの?
トド松「ねえ、さくらちゃん。どうして泣いてるの?」
「…っ、ご、ごめんなさい……なんでもないの」
トド松「なんでもなくないよ。だって、今、僕の名前呼んだよね?」
「……っ」
うそ。聞かれてたの?
どう言い訳しようか迷っていると。
トド松「ねえ、ここ開けてよ。顔、見たい」
なんでそんなこと言うの?
期待しちゃうじゃん……
トド松「おそ松兄さんに聞いたよ。さくらちゃん、ここ1週間、ずっと元気なかったって。ずっと何かに悩んでたって」
「……」
トド松「……さくらちゃん、僕うぬぼれてもいいかな?」
耐えきれず、わたしは、扉を勢いよく開けた。
泣きはらしたひどい顔だけど、もうそんなこと関係なかった。
「トド松くん……っ」
わたしは、向かい合ったトド松くんに、言った。
「そうだよ。わたし、バカだから……こうなるまで自分で気付かなかったの。でも、今ならちゃんとわかる。わたし……
あなたのことが誰よりも好き」
告白なんてしたことがなくて、どう言えばいいか分からなかった。
だから、ありのままの想いをそのまま口にした。
その瞬間。
トド松くんの瞳から、ぽろぽろと涙が溢れ出した。
トド松「……僕……今なら死んでもいいや」
「えっ…?」
トド松くんの腕が、わたしを包み込む。
そして、そのまま、強く抱きしめられた。