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【おそ松さんR18】君がため

第33章 誰よりも君が好き《トド松END》




おそ松「おう、よろしくー!」


おそ松くんは、差し出された彼女さんの手を握って、ぶんぶんと縦にふる。

……さっきまで顔は普通とか言ってたくせに。でれでれしちゃって。


おそ松「でもさー、ぶっちゃけ、どう?うちの末弟」

『どうって……?』

おそ松「こう見えてこいつ結構奥手だろ? もうキスとかした? ホテル行った?」

トド松「えっ…ちょっ……! おそ松兄さん、いきなり変なこと訊かないでよ! ごめんね、答えなくていいからね」


トド松くんが、あわてて彼女さんに言う。

しかし、彼女さんは、まるで動じていなかった。


『……行きましたよ、ホテル』


彼女さんの口から発せられた言葉に、全員が固まった。

彼女さんの目が、何故かわたしのほうを見る。


「……え?」

『だから、行きました。ホテル。ねっ、トッティ?』

トド松「え……あ、ああ、うん……」


彼女さんに威圧的に訊かれて、トド松くんはうなずく。


……トド松くん、ホテル行ったんだ。

そっか、そりゃあそうだよね。恋人同士だものね。そういうことをしたっておかしくないし、むしろ当然だよね。


そう考えたら、涙がすぐそこまでこみ上げて来た。


「ごめんなさい……わたし、ちょっと具合が悪いから帰るね」

トド松「ええっ!? 大丈夫、さくらちゃん?」


トド松くんの問いには答えず、みんなに背を向けて走り出す。



……わたしはバカだ。


こうなってから初めて気付くなんて。


トド松くんに彼女ができてショックだったのは、トド松くんがわたしを好きじゃなくなったからではない。


わたしが、トド松くんを好きだったからだ……



どうして今まで気がつかなかったんだろう。

別なことにばかり気をとられて、肝心な自分の気持ちに気付けなかった。

大切なものは、こんなにすぐ傍にあったのに……


走りながら、涙があふれてくる。

わたしは、それを拭うことなく、走り続けた。

今は、ただ、一刻も早く家に帰りたかった。



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