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【おそ松さんR18】君がため

第32章 期待《トド松END》




「ねえ、トド松くん? そろそろ帰ろ? これ以上飲んだら、わたし、トド松くんのこと連れて帰れないかも…」

トド松「えーっ! もう帰るのー?さくらちゃんともっと一緒にいたーい!」

「お家帰っても一緒にいれるでしょ?」

トド松「そうだけどぉ……家に帰ったら兄さんたちがいるじゃん!」


かたくなに帰ろうとしないトド松くんを引きずって、お会計を済ませ、店を出る。

あーー……やばい。わたしも結構酔ってる。

足元、ふらふらする……


トド松「んへへ〜♪さくらちゃ〜ん♪」


歩きながら、トド松くんが腕を絡めてくる。


トド松「手、つなご〜?」

「うん、いいよ」


仲良く手を繋いで、星空の下を歩く。


……と、突然、トド松くんが大人しくなった。

不思議に思い、見ると、トド松くんは、きゅっと唇を噛み締めて、今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「どうしたの、トド松くん……?」

トド松「……ねえ、さくらちゃん。このまま帰りたくないなあ……」

「え……?」

トド松「さくらちゃんのこと、まだ離したくない……」


ぎゅっ、と繋いだ手に力をこめられた。


トド松「さくらちゃん……今日帰らなきゃだめかな?」

「……でも、みんな心配するよ?」

トド松「大丈夫だよ……ちゃんと連絡するから」

「でも……」


わたしが躊躇していると。

不意に、トド松くんの腕が、わたしを抱きしめた。


「……っ!」

トド松「お願い、さくらちゃん…… もう少しだけ、僕のわがまま、聞いて?」

「……トド松くん」


あのときと同じだ……


トド松くんが、わたしを逃がそうとしてくれたとき……

あのときと同じ、今にも消えてしまいそうな声だった。

その声は、まるで麻薬のようにわたしの脳を刺激し、麻痺させた。


気付いたときには、わたしは、うなずいていた。


「……いいよ?」


そう言って、トド松くんを抱きしめ返す。

トド松くんの身体は、とてもあたたかかった。



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