第31章 僕を選んで《トド松END》
そして、2時間後。
やっぱり、俳優さんは、とってもかっこよかった。
かっこよくて、演技も上手くて、ほんっと最高……
「は〜面白かったね! ねっ、トド松くん?」
トド松「…まあまあじゃない?」
トド松くんは、何故か、唇をすぼめて不機嫌モード。
これって……もしかして……
「ねえ、トド松くん。もしかして、この俳優さんに妬いてる?」
トド松「……っ、ああそうだよ! だって、さくらちゃん、さっきからこの俳優のことかっこいいかっこいいって、そればっかり…!」
トド松くんは、ぷくりと頬をふくらませて、「しかも、この俳優、どことなくカラ松兄さんに似てるし」と付け加えた。
……あ、言われてみれば、たしかにそうかもしれない。
トド松「……ねえ、さくらちゃん」
突然、トド松くんが、甘えた声でわたしの名前を呼んだ。
かと思うと、わたしの手首をつかんだ。
わたしは、そのまま床に押し倒された。
「っ……ちょ、トド松くん?」
トド松「ごめん……エッチはしないよ。でも……」
ちゅ。
トド松くんは、わたしの唇に優しいキスを落とし、頬、首、胸元の順番に口づけていく。
そして、わたしの上に覆い被さるようにして、わたしの身体を抱きしめた。
トド松「はあ〜〜……むり。さくらちゃんが足りない」
「最近あまり2人きりになってなかったもんね…」
トド松「うん……もうちょっとこのままでいさせて? 充電、したい…」
甘えるトド松くんが可愛くて、愛しくて、たまらず抱きしめ返す。
抱きしめた瞬間、ふわっと甘い香水の香りがした。
「トド松くん、いい香りするね…」
トド松「さくらちゃんのほうがいい香りだよ。なんていうか……女の子ってかんじの香り。僕、さくらちゃんの香り大好き」
「そっ、そう……?」
……あー、なんか恥ずかしい。
トド松くんって、女の子慣れしてるから、こういうことサラっと言うんだよね。そのたびに不覚にも心臓がどきどきする。
トド松「……あれ?さくらちゃん、なんかドキドキしてない?」
……あ、やばい。ばれた!
トド松くんは、わたしの左胸に耳を押し付けて、幸せそうに笑う。
その笑顔に、ますます心臓が速くなった。