第31章 僕を選んで《トド松END》
***
今日も、ひま…
家事は全部終わっちゃったし、みんなわたしを置いて出かけちゃったし、何もすることがない…
くだらないバラエティ番組ばかりを流しているテレビを消して、ごろんと床に横になる。
お昼寝をする気にもなれない。
今日だれも起こしてくれなかったからお昼近くまで寝ちゃって、全然眠くない……
と、そのとき。
トド松「さくらちゃーん♪ 映画、見ない?」
突然、トド松くんに顔をのぞきこまれて、わたしはびっくりして飛び起きた。
「うわあ…っ! びっくりした〜……トド松くん、いたんだ」
てっきり全員でかけたと思っていたのに。
トド松「今帰ってきたんだよ。ツ●ヤでDVDたくさん借りてきたから、いっしょに見よ♪」
そう言って、トド松くんは、鞄から、レンタルしてきたであろう大量のDVDを取り出した。
「…ほんとにたくさん借りてきたんだね」
トド松「さくらちゃん、ずっと家にいて退屈かなーと思って」
「そっか、ありがとう! 嬉しい」
お礼を言ってから、DVDのひとつを手に取る。
……あ、これ、去年話題になってた恋愛映画だ。わたしの好きな俳優さんが出てるやつ。
仕事が忙しくて見に行けなかったんだよね。
「ねえ、トド松くん。まずはこれ見たいな」
トド松「…え、それ?」
トド松くんは、意外だと言わんばかりに目を見張った。
トド松「それ、前のバイト先の女の子に勧められた映画なんだよね。ちょっと冷やかしのつもりで借りてきたんだけど……さくらちゃんこういうの好きなの?」
「好きっていうか……この俳優さん好きなんだよね。普段はアクション映画とかに出てる人なんだけど……かっこよくない?」
トド松「ふーん…?」
トド松くんは、DVDのパッケージにうつっているわたしの好きな俳優さんを眺めながら、目を細めた。
たぶん、絶対、ばかにしてる…!
こうなったら、この映画を見て、トド松くんにもこの俳優さんの良さをわからせてやる!
わたしは、トド松くんの手から半ば強引にDVDを奪い、それをDVDプレイヤーにセットした。