第31章 僕を選んで《トド松END》
トド松「……なんか、幸せだなー」
不意に、トド松くんの唇から、そんな呟きがもれた。
トド松「こうやってさくらちゃんの傍にいられるだけで幸せなのに……僕はそれ以上を求めちゃうからだめなんだよね……」
「トド松くん……」
トド松「この前は、ごめんね?」
「え?」
トド松「図書館で……僕、あのとき、一松兄さんにすごく嫉妬しちゃったんだ。それで、あんなことを……」
トド松くん……もしかして、ずっと気にしててくれたのかな?
前に、首を絞められたときも、トド松くん、すごく気にして家出しちゃったくらいだから……
「いいよ、そんなの。別に気にしてない…」
トド松「さくらちゃんは、優しいね。でもね、さくらちゃん。その優しさが、僕たちをだめにしてるんだよ?」
「えっ……?」
それってどういう意味?とたずねようとしたけれど、
次の瞬間、トド松くんは、すうすうと寝息をたて始めた。
「え……? トド松くん?」
うそでしょ?
このタイミングで寝ちゃったの?
もう〜〜!
「トド松くーん……重いよ……せめてわたしの上からおりてー」
それにしても……トド松くん、可愛い寝顔だなあ。
睫毛長いし、口とかむにゃむにゃしてて小動物みたいだし。
てか、お肌すべすべ…… なにかお手入れとかしてるのかな?
そっと、トド松くんの頬に触れてみる。
ふにっ、と柔らかな感覚が指先に伝わってきた。
「トド松くん……」
胸の奥から、愛しいという気持ちがふつふつとこみ上げてくる。
トド松くんは、とてもいい人だ。
優しくて、わたしのことを純粋に愛してくれて、わたしのことを気にかけてくれて……
この人の気持ちに応えられたら、どんなにいいだろう。
カラ松くんのことは好き。一松くんも好き。
でも、きっと、この人を愛したら1番幸せになれるって、心のどこかでずっとわかっていた。
「トド松くん……ごめんね」
わたしは、眠るトド松くんの唇に、優しくキスをした。