第29章 泣きたいときは《十四松END》
「はっ、激し……ッ!!」
激しいピストンに、絶頂が近づいてくる。
それは、十四松くんも同じだったようで、
身体をぎゅっと抱きしめられた。
十四松「やばいっ……出そう…!」
「んんっ…いいよ…! 一緒に……一緒にイこっ」
十四松「うんっ…!さくらちゃんっ…さくらちゃん、好き…! だいすきだよ…っ」
わたしを抱きしめる腕にぎゅっと力がこもったその瞬間、
十四松くんは、腰の動きを止めた。
ナカでびくびくと十四松くんが震えながら白濁を放った。
それと同時に、わたしも、その振動に刺激されて絶頂した。
台所をきれいに掃除したあと、十四松くんは、居間から救急箱をもってきて、わたしの手首に白い包帯を巻いてくれた。
「……あ、ありがと」
十四松「ううん、いーよ」
十四松くんは、包帯でぐるぐる巻きにした自分の左手を掲げて、幸せそうに笑った。
十四松「えへへ、さくらちゃんとおそろい〜!」
その笑顔は、本当にかわいくて、天使みたいだった。
だから、わたしは……
「……そうだね、おそろいだねっ」
十四松くんと同じように、包帯が巻かれた左手を掲げて、笑った。
しかし、そのときだった。
十四松くんの天使のような笑顔が、歪んだ。
眉が下がり、唇がわなわなと震え出す。
「えっ……えっ…どうしたの、十四松くん!?」
わたしが驚いて声をかけると、十四松くんは、いよいよ泣き出してしまった。
十四松「うっううう……ぐす…っ」
「えっ!? な、なに? どうしたの? 何があったの?」
突然のことに、おろおろすることしかできない。
十四松「……ううっ、う…ごめんね、さくらちゃん…っ」
「えっ?」
十四松「さくらちゃん…こんなこと嫌だったよね? 痛かったよね? 苦しかったよね? うううっ…ぼく、どうしてさくらちゃんが苦しんでるのに嬉しいんだろう…っ、自分でも何がしたいのかよくわかんないよおお…っ」
「……十四松くん」
わたしは、泣きじゃくる十四松くんを、そっと抱き寄せた。
……そうだ、忘れていた。
十四松くんは、誰よりも優しくて他人の痛みに敏感なんだ。
だから、きっと、今、嬉しい反面、つらいんだ…
わたしが傷ついているから…