第3章 誰にもわたさない【トド松】
「トド松くん……何しようとしてるの?」
トド松「何って、決まってるじゃん。それくらい鈍感なさくらちゃんでも分かるでしょ?」
「……お願い、トド松くん。もうやめて……みんなおかしいよ……どうしちゃったの……!」
トド松「僕は普通だよ? 僕は、たださくらちゃんのことが好きなだけ」
トド松くんは、わたしの肩に手を置いて、キスをしてきた。
「んうっ…」
トド松「はは、可愛い声。その声を兄さんたちが先に聴いたんだと思うと、嫉妬でおかしくなりそう」
「やっぱりおかしいよ……! お兄さんたちも、あなたも」
トド松「……」
一瞬、トド松くんは、寂しそうな瞳でわたしを見つめた。
その顔があまりにも儚げで、今にも消えてしまいそうで、息をのむ。
しかし、トド松くんがその顔を見せたのは一瞬のことで、すぐにまた表情を戻した。
トド松「なんでもいいけど、兄さんたちと一緒にしないでくれる?」
トド松くんは、わたしの服のボタンをぶちぶちと外しながら、冷たく言った。
「……やってることは一緒だけど」
トド松「そうかもね。だから嫌だったんだ。兄さんたちの計画に乗るのは」
計画。そういえば、十四松くんも言っていた。『計画』とちがう、と。
それは、つまり、6人の間になんらかの計画があって、6人で協力し合いながらわたしをここに軟禁しようとしているってことなのかな。
だとしたら……
カラ松くんとチョロ松くんも……
トド松「ねえ、さくらちゃん、覚えてる?」
トド松くんは、露わになったわたしの胸を愛撫しながら、口をひらいた。
「ん……やっ、な、なにを?」
トド松「僕らが高校生だったころのこと。さくらちゃん、雨の日に、傘を持ってなかった僕に、自分の傘を貸してくれたんだ」
「そ、そんな……の、たくさんありすぎて……っ」
トド松「そうだよね。でも、僕には、あのときのさくらちゃんが天使に見えたんだ」
トド松くんの手が、敏感な先っぽをかすめる。
「んんっ……!」
トド松「さくらちゃんのこと、誰にも渡したくない……兄さんたちにも譲れない……」
「トド松く……ん」
トド松「本当は、さくらちゃんを独り占めしたい。6つ子の一人じゃなくて、僕は僕として見られたかった……」