第28章 守りたい《十四松END》
いくら十四松くんでも、この雨の中を素足で出かけるなんて、そんな破天荒なことはしないだろう。
なんか…嫌な予感がする。
「わたしも探してみるよ」
わたしは、腰をあげた。
部屋を出て、一階におりる。そして、お手洗いのドアを開けた。
でも、中には誰もいなかった。
次に、お風呂場。でも、そこも、昨日の夜に掃除したときのままだった。
そのとき、ふと、家の外にある、小さな物置小屋の存在を思い出した。
あの物置小屋に案内してくれたのは、十四松くんだった。
十四松くんは、あそこに使わなくなった野球のバッドやグローブ、ボールなんかをしまっていると言っていた。
そして、この小屋は、自分以外の兄弟は滅多に足を踏み入れないため、自分の私物のようになっている、ということも……
「……あそこだ」
わたしは、確信した。
十四松くんは、あの物置小屋にいる。
玄関で靴を履き、外に出る。そして、庭を通って、家の裏側にある物置小屋に向かった。