第27章 幸せになりたい《チョロ松END》
チョロ松くんの言葉の意味がわからず、混乱してしまう。
チョロ松「…だからっ、なんで僕なのって訊いてんの!」
「なんでって……そんなこと、言われても……」
チョロ松「信じられないんだけど……だって、さくらちゃんは、カラ松兄さんのことがずっと好きで……それに、一松と付き合い出したって……」
混乱しているのは、チョロ松くんも同じなようだった。
当たり前だよね。だって、いきなりわたしなんかに告白されたんだもの。
「ご、ごめん……でも、どうしても伝えたかったの。これは完全にわたしのエゴだから……だから、忘れてくれてかまわないからっ」
チョロ松「なんで、忘れなきゃいけないの? 死んでも忘れない」
そう言って、チョロ松くんは、ますます強い力でわたしを抱きしめた。
「え……?」
それって、どういうこと?
チョロ松くん……もしかして……
チョロ松「さくらちゃんは僕のことなんか好きにならないって思ってたから……だから、ずっとさくらちゃんを好きにならないようにしてたんだよ」
「えっ……」
チョロ松「でも、どうしても気持ちがおさえられなくて……それで、自分の気持ちを押し殺すために、昨日もさくらちゃんにあんなひどいことを……」
チョロ松くんは、ごめんね、と呟くように言った。
「それって……つまり……両想い、ってこと?」
チョロ松「そう、なるね」
「ほんとうに……? 嘘じゃない?」
チョロ松「嘘じゃないよ。さくらちゃんのことが、好き」
チョロ松くんの唇が、わたしの唇に重なった。
「ん…ッ、は、ぅ」
チョロ松「やっぱり可愛い……好き……」
「わたしも……わたしも、チョロ松くんが好き……っ」
チョロ松「もう一回、キスしていい?」
「うんっ……してほしい」
ふたたび、どちらからともなく唇を重ねる。
どうしよう……
わたし、今、すごく幸せ……
わたしは、目を閉じて、キスに応える。
今、この世界には、わたしとチョロ松くん以外だれもいなかった。
わたしたちは、ふたりきり。これからも、チョロ松くんとふたりで生きていきたい……
わたしがそう願った、そのときだった。