第26章 なんで?《チョロ松END》
そのあと、一松くんは、スマホで消毒のやり方を調べながら、丁寧に手当をしてくれた。
一松「……ごめん、さくら」
「えっ?」
一松「チョロ松兄さんのこと……。兄さん、今ちょっと機嫌悪かったみたいだからさ……さくらにも嫌な思いさせたなって」
「なんで一松くんが謝るのよ? わたしは全然気にしてないよ? チョロ松くんだって、機嫌が悪いときくらいあるだろうし」
一松「でも、僕が余計なこと言ったから……」
「一松くんは、わたしを心配してくれたんでしょ? ぜんぜん余計なんかじゃないよ」
そうだよ。チョロ松くんは、ちょっと虫の居所が悪かっただけ。
それに、わたしの不注意で怪我をしたんだから、チョロ松くんが言っていた、『手当くらい自分でさせたら』っていう言葉も一理ある。
けれども、一松くんは、納得いかない様子で、
一松「あとでチョロ松兄さんには僕から言っとくね…」
と、呟くように言った。
一松くん……本当にわたしのこと気にかけてくれてるんだな。嬉しい。
でも。
「ううん。大丈夫だよ、何も言わなくて。明日になれば、チョロ松くんも機嫌なおしてくれるよ」
しかし、翌日、わたしは、その言葉が間違っていたと思い知らされることになる。