第24章 救いを求めて《おそ松END》
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その日も、その次の日も、そのまた次の日も、亮はわたしにメールをよこした。
それは、大抵、『いつ暇なの?』とか、『やっぱり何か悩んでるでしょ?』とか、『会って話がしたい』とか、そういう内容のものばかりだった。
わたしは、それを適当な言葉でかわした。
けれども、会えないという意思は伝えなかった。
そんなある日の夜のことだった。
その日、わたしは、夕飯の当番だった。
と言っても、一人じゃなくて、トド松くんと一緒だ。
トド松「さくらちゃんと一緒にごはんつくるのなんて、いつぶりかな〜♪ うれしいな〜」
台所でピンクのエプロンをしめながら、トド松くんはるんるんと言った。
「そうだね、いつぶりだろうね〜。てか、トド松くん、エプロンの色ピンクなんだね。女子力高すぎる…」
トド松「えへへ、ありがと。で、さくらちゃん、なにつくるのー?」
「なにつくろう? 冷蔵庫の中、見てみよっか」
わたしとトド松くんは、冷蔵庫を開けて、仲良く中を覗き込んだ。
中にあったのは、お肉とお魚、それからちょっと傷んだじゃがいもとにんじん。
「カレーかシチューにする?」
トド松「そうだね。でも、玉ねぎないから買いに行かないと」
こうして、わたしとトド松くんは、玉ねぎを買うために出かけることになった。
家から出て初めて気付いたのだが、外は、土砂降りだった。
なんか変な音がすると思ったら、雨の音だったのか……
トド松「雨、だね……」
「うん。傘、ささないとね」
わたしたちは、それぞれ傘を広げて、土砂降りの雨の中に身を投じた。
それから、ちょっと小走りで近くのスーパーまで行き、玉ねぎのパックと、ついでにデザートの梨も買った。
そして、ふたたび小走りで家に戻っていたときだった。
トド松「……あれ? 前歩いてるのって、おそ松兄さんじゃない?」
トド松くんが指差した先には、赤いパーカーのおそ松くんが歩いていた。
おそ松くんは、わたしたちと同じ方向……つまり、家のほうに向かって歩いている。
だけど、その足取りは、なんだかふらふらしていて、おぼつかない。
もしかして酔っているのかもしれないと一瞬思ったけど、酔っているときの千鳥足とはちょっと違う。