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【おそ松さんR18】君がため

第24章 救いを求めて《おそ松END》




***


その翌日のこと。みんなが外出してしまって、家にはわたしとおそ松くんしかいなかった。

おそ松くんは、居間で競馬新聞を読んでいる。

対するわたしは、そんなおそ松くんの隣に腰をおろして、大して面白くもない再放送のドラマを見ていた。


と、そのとき。


おそ松「『亮くん』ってさあ…」


おそ松くんの口から、亮の名前が出てきて、わたしは、びくっとした。


「う、うん……?亮がどうかしたの?」

おそ松「へえ、呼び捨てにしてるんだ? 結構親しい関係だったの?」

「別に…そういうわけじゃ…」

おそ松「昨日、別れ際に、あとで連絡するって言ってたよな? 連絡、来た?」


わたしは、思わず、ポケットのスマホをぎゅっと握りしめた。


「き、来た……けど」

おそ松「ふーん。なんてー?」


おそ松くんは、新聞を眺めながら、淡々とした口調で言った。


「その……」

おそ松「なに? 俺には言いづらいこと?」

「えっと……あの……」


どう言えばいいんだろう。

本当のことを言っても怒らないだろうか?


わたしが答えるのを渋っていると。

不意に、おそ松くんが、新聞を床に置いて立ち上がった。

そして。


「……へっ?」


わたしの手首をつかみ、ひねりあげた。

痛かった。涙が出そうなほどに。


「いっ、痛い! 何するの、おそ松くん…っ」

おそ松「……答えられないなら、スマホむりやり奪うけど?」

「……っ!」


見上げたおそ松くんは、冷たく笑っていた。

その表情を、わたしは久しぶりに見た。


「わ……わかった…わかった、から……言うから」

おそ松「ん、言って」

「その……再会祝いにお茶にでも行こうって…誘われて……」

おそ松「ふーん? で、さくらはなんて返したの?」

「機会が…あったら、って……」


わたしが正直に答えると、おそ松くんは、わたしの手首を放してくれた。

痛む手首をさすっていると、今度は、肩をつかまれて、そのまま床に押し倒された。


「……っえ?」

おそ松「もうひとつ、隠してることあるよなあ?」


おそ松くんは、八重歯を見せて笑った。

いつもは可愛いと思うその八重歯が、

獣の牙のように見えた。



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