第24章 救いを求めて《おそ松END》
亮は、地元が一緒で、小学校と中学校の同級生。
そして……わたしが生まれて初めてお付き合いをした人だった。
と言っても、付き合っていたのは、中学3年生の最後の数ヶ月だけで、キスもせず別れてしまったのだけれど。
亮「思い出してくれた?」
「うん。雰囲気かなり変わってたからわからなかった…」
亮「はは、そうだよね。でも、さくらもすごく大人っぽくなっててびっくりしたよ。それに、昔よりも綺麗になった…」
「そ、そうかな? でも、よく後ろ姿でわたしだって分かったね」
亮「そりゃあ、分かるよ…過去に好きだった人だし」
そう言って、亮は、頬を赤らめた。
うわ……なんか、これはトド松くん以上にあざといな。
亮ってこんなキャラだったっけ? 中学のころはどちらかと言うと地味で大人しい感じだったのに。
亮「でも、懐かしいなあ。何年ぶり? 中学の卒業式以来だよね」
「そうだね。8年ぶり……とかそこらへんかな?」
亮「そうだよね! それくらいになるよね。ねえ、今度ひまなとき会えないかな? 僕、今、営業の仕事中だからそろそろ行かないといけないんだ」
「あ……えっと……」
亮「携帯の番号とかメアドとか、変わってる?」
「変わってない……けど……でも、」
そのときだった。
ぐいっと、背後から肩をつかまれた。
いや……つかまれた、というよりも、抱き寄せられた、に近いかもしれない。
おそ松「おまたせー、さくら。って、あれ? この人だれ?」
おそ松くんは、わたしの手にクレープを押し付けると、白々しくたずねた。
その顔は、笑顔なんだけど……いつものおそ松くんの笑顔ではなかった。
亮「あ……はじめまして。僕は、さくらの中学の同級生です」
おそ松「へえー? 中学の同級生……ね」
亮「……そっか、彼氏さんと一緒だったんだね。邪魔したね、さくら」
「あっ……おそ松くんは、彼氏じゃなくて……」
亮「えっ、ちがうんだ? じゃあ、ふたりはどういうご関係?」
「……高校の、同級生」
そう答えるしかなかった。