第22章 もっと構って《おそ松END》
「えっ……」
おそ松くんは、わたしの横をすり抜けて、部屋を出ていこうとする。
……まって、
行かないで。
わたしは、おそ松くんの手をつかみ、引き留めた。
なぜそんなことをしたのかは、自分でもよく分からなかった。
「あ……っあの、」
おそ松「ん? どした? まだなんか用事ある?」
「いや……そういうわけじゃ……ないんだけど……」
一松「……」
横から、一松くんの視線を感じる。
どうすればいいんだろう。
というか、わたしは何がしたいんだろう。
迷った挙げ句、わたしは、おそ松くんの手を放した。
「ごめん……なんでもない」
顔を俯けて、ぼそぼそと答える。
……と、そのとき。
ぽん、と頭に何かが乗せられた。
はっと顔をあげると、それは、おそ松くんの手だった。
おそ松「……なに泣きそうになってんだよ。大丈夫、ちゃんと帰ってくるよ」
「……っ!」
わたしがよっぽど不安そうな顔をしていたのかもしれない。
おそ松くんは、そう言って、優しく笑ってくれた。
そして、その言葉どおり、おそ松くんは、日付が変わる前に家に帰ってきた。
あのとき手を放したらおそ松くんがどこかに行ってしまうような気がしたのは、どうしてだったんだろう。
そんなはずないのに。