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【おそ松さんR18】君がため

第21章 愛してる、だから…《一松END》




「あの……一松くん」


わたしは、その場を動こうとしない一松くんに、呼びかける。


「なにか食べたいものある? わたし、つくるよ?」

一松「……」


一松くんは、わたしをじーっと上目に見つめた。

……何を考えているんだろう。少なくとも、なにを食べたいか考えているわけではなさそうだけど。


と、そのとき。


一松くんは、のそりと立ち上がると、わたしの前まで歩いてきて、そして…


ぐいっ


腕を掴まれ、押し倒された。


「……っ」


黙したまま、あいかわらずの無表情でわたしを見下ろす一松くん。

どくどくどく……と心臓が小刻みに脈をうつ。


「えっと……一松くん?」

一松「ん…?」

「なんでわたしは押し倒されてるの?」

一松「え……今更そんなこと訊く?」

「いや、だって、ごはん! ごはん食べようよ! わたしお腹すいちゃったよ」

一松「僕は、さくらを食うからいい」


一松くんは、わたしの唇に噛み付こうとしてきた。


いつもだったら、このまま流されてしまうわたしだけれど、

今日はちがった。

自然と身体が動いていた。


「まって、一松くん」


近づいてきた一松くんの口を、手で塞いで、キスを阻止する。


一松「…なに」


一松くんは、不機嫌そうに眉根を寄せた。


「こういうことする前に……話がしたいの」

一松「……はなし?」

「そう。……わたしたちのことについて」


言えた。

ちゃんと、言えた。


一松「なにそれ。別れ話?」

「ちがうよ……聞いて」


わたしは、一松くんの頬に触れた。


「あの……あの、ね……一松くんは信じてくれないかもしれないけど、」

一松「うん…」

「わたし……」


どうしよう。ここで言うべき?

言うつもりなんてなかったのに。この流れで言って後悔しない?


「……」

一松「……もしかして、妊娠した?」

「……へっ?」


驚いて一松くんを見ると、彼は、真剣な眼差しでわたしを見つめていた。


一松「僕の子供……かどうかなんて分かんないよね。でも、ちゃんと責任とるから……」

「まってまってまって…! ちがうから! 妊娠、してないから!」


あわてて否定すると、一松くんは、きょとんと目を丸くした。




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