第20章 離れられない《一松END》
指と指を絡ませ合って、手をつなぐ。
一松「ね……さくら…嘘でいいから、好きって言って」
「好き…っ、好きだよ、一松くん……っ」
一松「うん…俺も……俺も、好き」
一松くんは、上体を起こし、身を乗り出してわたしの唇にキスをした。
腰を動かしながら、舌と舌を絡ませ合って濃厚な口づけをする。
と、そのときだった。
一松「…さくら、ちょっと待って」
突然、一松くんが、わたしを制止した。
唇と唇が離れて、つうーっと銀色の糸がふたりを繋ぐ。
わたしは、腰を止めて、一松くんの顔を覗き込んだ。
「ど、どうしたの…?」
一松「誰か来る……」
「えっ……?」
誰かって……もしかして、見回り?
そんな、どうしよう。
耳をすませると、コツコツ、と廊下を歩く足音が聴こえてきた。
「い、一松くん、一旦これ抜くね……」
わたしは、腰を浮かせて、一松くんのモノを引き抜こうとした。
しかし、次の瞬間。
一松くんの手が、わたしの腰をつかんだ。
「……ちょっ、えっ、え?」
一松「……だれが抜いていいって言った?」
一松くんは、わたしの腰をつかんだまま、がんがんと下から突き上げてきた。
「んっ…ッあう! ちょっと、まっ……い、いちっ……んんッ!」
一松「声、きかれるよ? いいの?」
「よ、良くない…! ていうか、やめ…ッ」
一松「大丈夫。この時間なら、看護婦じゃなくて警備員だから。病室の中にまでは入ってこないよ……ヤってるのバレなければね」
そう言って、一松くんは、ぺろりと舌で自分の唇を舐めた。
そして、再び下から、二度、三度、と突き上げてきた。
「ひっ……ン…ンンッ…」
わたしは、手で口を押さえて、声を押し殺した。
……こんなところを見られたら、
言い訳なんて通用しない。
どうすることもできない。
一松「……ヒヒ、なんか、さっきよりナカ締め付けてくるんだけど。もしかして、バレるかもしれないって思って興奮してんの?」
「ちっ、ちが……ッ」
一松「ほんと、変態だね」
ひどい言葉だ。
それなのに、わたしは、その言葉にすらも、興奮していた。
わたしは……一松くんの言うとおり、どうしようもなく変態で淫乱になってしまったのかもしれない。