第20章 離れられない《一松END》
そのとき、再びがらりと扉がひらいた。
掛け布団のせいで見えないけど、たぶん、またさっきの看護婦さんだと思う。
『あれ……? 彼女さん、どこ行ったんですか?』
一松「ああ……もう帰りました。ついさっき」
『えっ? そ、そうなんですか?』
……一松くん、看護婦さんにわたしのこと彼女だって説明してるんだ。
まあ、間違ってないけど。ちょっと恥ずかしいな。
『明日の朝は検診がありますから、早めに起きてくださいね』
一松「…はい」
『じゃあ、おやすみなさい。松野さん』
そして、看護婦さんは、病室を出て行った。
それを見届けた一松くんは、掛け布団をめくった。
一松「ほら、やりすごせた」
「やりすごせた、じゃないよ〜! どうするの、こんなことして…」
一松「大丈夫。見回りもそんな頻繁に来るわけじゃないし」
「そういう問題じゃないよ……」
べっと舌を出して悪戯っぽく笑う一松くんに、溜め息がもれた。
そのあと、すぐに消灯の時間になり、病室は真っ暗になった。
暗い病室に、わたしたちは2人きり。
そう言えば、こんなふうに2人で眠るのはとても久しぶりだ。
「一松くん……」
隣の一松くんに呼びかける。
一松「…ん」
「その……ありがとう」
一松「なんのこと」
「わたしを庇ってくれて……。不謹慎だけど、うれしかった。一松くんが、そんなにわたしを好きでいてくれて……」
一松「……当たり前。いつから片想いしてると思ってんの」
一松くんは、わたしの手をにぎると、首もとに、ちゅ、と唇を寄せた。
「……っあ」
一松「好き……もう他の人なんて考えられないくらい好き……」
一松くんは、甘い言葉をささやきながら、わたしの首もとにキスマークをつけていく。
「んっ……ん……っ、ちょ……一松くん」
一松「前に、僕のことを好きになってって言ったけど、でも、」
一松くんの手が、わたしの服のボタンをぷちぷちとはずす。
一松「…僕かカラ松かなんて選ばなくていいよ。だって……僕にとったら、さくらはただ見れるだけで満足だった存在で……こんなことできるなんて、もうそれだけでじゅうぶん……」
一松くんは、そう言って、はだけさせた胸に舌を這わせた。