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【おそ松さんR18】君がため

第19章 わたしの気持ち《一松END》




その日の夜。

わたしは、異様に喉がかわいて目を覚ました。


隣には、口を開けて大きないびきをかいている十四松くん。

その隣に、チョロ松くん、おそ松くん、トド松くん、カラ松くん、一松くん、と続いている。


「お水、飲みたい……」


わたしは、みんなを起こさないように、そっと布団を抜け出した。

足音がしないように慎重に廊下をすすみ、階段を下りる。

そして、水を飲むために台所に足を踏み入れた。


食器棚からガラスのコップを取り、蛇口をひねって水を注ぐ。

そして、それを飲み干そうとした、そのとき。


背中に何かを突きつけられるような感覚に、わたしは動きを止めた。


「っ……」

???「こんな時間に一人になっちゃダメじゃん」

「……っ、いちまつ、くん?」


怖くて振り向けないけど、声でわかる。

わたしの背後にいるのは、一松くんだ。

そして、

きっと、

わたしの背中に突きつけられているのは、刃物だ。


一松「やっと2人きりになれたね、さくら」

「……いちまつくん。や、やっぱりあのときわたしを殺そうとしたのは……あなただったの……?」

一松「ヒヒッ…そうだよ。他に誰がいるって言うんだよ」


一松くんは、さぞ楽しそうに笑った。


そんな……じゃあ、やっぱり一松くんは嘘をついていたの……?


一松「僕のこと信じてくれてありがと。でも、残念でしたー。僕を信じようとした時点で、すでにゲームオーバーだよ」

「一松くんっ……」


ぽろぽろと涙があふれてきて止まらない。

怖い、とか、悲しい、とか、いろんな感情があふれてきて、抑えられない。


一松「…最後にキスしていい?」


一松くんは、わたしの肩をつかみ、正面を向かせた。

暗闇の中で見る一松くんの双眸は、おどろくほどに青く澄んでいた。


一松くんの唇が、わたしの唇に触れる。

そして、その唇が離れたとき。一松くんは、手に持っていた包丁を、わたし目がけて振り上げた。

わたしは、覚悟を決めて、目を閉じた。


刃が空をきる。

そして……


「……えっ?」


目を開けたわたしは、そこに広がっていた光景に目を見張った。






振り下ろされた刃から守るようにわたしに覆い被さっていたのは、

まぎれもない、『一松くん』だった。



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