第18章 好きって言って【カラ松、一松】
「っ……あ、……に、におい?」
一松くんの言葉に、わたしは動揺していた。
一松くんと付き合っている以上、カラ松くんと身体の関係をもつことはいけないことだ。
それを一松くんに知られるのなんて、もってのほか。
けれど……
一松「……うん。あいつの匂い、すぐわかる」
一松くんは、すんと鼻をすすった。
怒っている様子はない、おだやかな声だ。
一松「……べつに、いいよ。さくらがあいつを好きってこと、知ってるし」
「い……一松くん……」
なんか、一松くん、別人みたいだ……
優しすぎて、怖い。
ますます罪悪感がこみあげてくる。
一松「…てか、僕、さくらが何つくるかわかっちゃった」
「……えっ?」
……な、なに?
突然、料理の話……?
一松「オムライス、でしょ」
「……」
一松「……あれ。はずれだった?」
「う……ううん。正解!」
わたしは、努めて明るく答えた。
たぶん、一松くんは、この話はこれでおしまい、という意味で料理の話に戻したんだろう。
だったら、無理に話を続ける必要はない。
わたしは、料理を再開した。