第2章 再会【一松、おそ松+十四松】
カラ松「ほ、ほら……寒いからな。抱き合ったほうがあったかいだろ?」
「ふふふ……そうだね」
あ……なんか、カラ松くん、いい香りがする。
その香りに包まれていたら、何故か、脳裏にさっきの一松くんの顔が浮かんだ。
『そうだよ。僕、あんたのこと好きなんだ』
一松くん……本当にわたしのことを……?
でも、あんなに大量の写真……冗談で持ってるはずがない。
カラ松「さくらは、好きな人……とかいないのか?」
「えっ!?」
突然思ってもいなかった話題をふられて、わたしは声をあげてしまった。
カラ松「ご、ごめん。でも、そんなに驚かなくても」
「あ……い、いないよ、好きな人」
カラ松「……! そうなのか!」
カラ松くんは、何故か、頬を赤らめて笑った。
その顔に、とくんと胸が高鳴った。
今はなんとも思っていないとは言えど、昔好きだった人だもの。やっぱり、何も感じないというわけにはいかないようだ。
カラ松「でも、意外だな。さくらは美人だし性格もいいから、男なんて選び放題だろ?」
「えっ、そんなことないよ」
カラ松「いや、高校のころだって、クラスでも部活でもモテモテだったじゃないか。俺のまわりにだって、さくらのこといいって言ってる奴けっこういだぞ」
「なにそれ、知らないよ。カラ松くんの勘違いじゃないの?」
カラ松「勘違いじゃない! それに、俺だって、さくらのことちょっといいなって思ってたし……あ!」
そう言って、カラ松くんは、はっと口を手で覆った。
……え? な、なに、今の?
どういうこと?
「カラ松くん、それってどういう……」
カラ松「ああああ〜! 今のは聞かなかったことにしてくれ! グッナイ!」
カラ松くんは、わたしに背を向けると、わざとらしい寝息をたて始めた。
ここで、もし、わたしが、
わたしも、高校のころ、カラ松くんが好きだったよ
って言ったら。何かが変わるんだろうか。
わたしは、カラ松くんの背中に伸ばしかけた手をひっこめた。
いや、そんなことするべきじゃない。
わたしたちは、変わってはいけない。