第2章 再会【一松、おそ松+十四松】
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目を覚ますと、見慣れない天井が視界に広がっていた。
部屋の中は薄暗く、今が夜であることを物語っていた。
「あ……起きたんだな、さくら」
ふと、頭上で声がして、顔をあげる。
そこには、カラ松くんの顔があった。
どうやら、わたしは、カラ松くんの膝枕で眠っていたようだ。
「こ、ここは……?」
カラ松「俺の家の居間さ。さくら、あのあと二階で気絶してたんだぜ。まったく、びっくりさせないでくれよな」
「気絶……?」
そうだ……思い出した。
わたしは、卒業アルバムを見に二階に行って、そこで隠し撮りされたわたしの写真を見つけてしまって、それで……
一松くんに襲われたんだ。
カラ松「ん……? どうしたんだ、さくら」
「ご、ごめん、なんでもない……」
カラ松「あまり溜め込むのは良くないぞ。何か困りごとがあるなら俺に言ってくれ。力になるから」
「カラ松くん……」
ああ。
この人は、そういう人だった。
優しくて、素直で、つねに他人を思いやって……それがカラ松くんだった。
でも、さすがに、言えない。あなたの弟にレイプされましたなんて言ったら、カラ松くんは、きっと悲しむ。
わたしは、カラ松くんを悲しませたくない。
それに、カラ松くんと一松くんの仲を壊したくもない。
「本当になんでもないの……。心配かけてごめんね」
カラ松「そ、そうか。なにもないならいいんだが」
「それより、今、何時? 他のみんなは?」
カラ松「もう0時を回ってるよ。みんなは二階で寝てる。さくらも、もう少し眠ったほうがいい。病み上がりなんだから」
「う、うん……ありがとう」
気がつけば、わたしの下には、きちんと布団が敷いてある。
意識が戻ってもこのままここで眠れるように、配慮してくれたんだろう。
「カラ松くんも、いっしょに寝よう?」
カラ松「えっ……お、俺も?」
カラ松くんは、びくっと肩を震わせて、目をしばたたかせた。
「うん……だめかな?」
カラ松「だっ、だめじゃない! だめじゃない! 一緒に寝よう、さくら」
カラ松くんは、慌てたように返事をして、わたしの隣に寝そべり、掛け布団をかけた。
そして、ぎゅっ、と。わたしの体を抱きしめた。