第18章 好きって言って【カラ松、一松】
しあわせ……
しあわせ、なんだけど、でも……
なんでだろう。
キスをしながら頭に浮かんだのは、一松くんの顔だった。
カラ松「…さくら。大丈夫か」
名前を呼ばれて、我に返る。
カラ松くんが、不安げな顔でわたしを覗き込んでいた。
「う、うん、大丈夫……ちょっと疲れちゃっただけだよ」
カラ松「そうか……もうすぐみんなが帰ってくると思う。俺は布団を敷いてくるから、さくらは風呂に入っておいで」
「うん、そうする……」
わたしは、急いで身を起こし、乱れた服を直した。
そして、床に散らばったパジャマと下着を拾い集めて、お風呂場に行こうとした。
しかし、そのとき。
カラ松くんの手が、わたしの手首をつかんだ。
「……? カラ松くん?」
見ると、カラ松くんは、視線を床に落とし、思い詰めたような険しい顔をしていた。
「…っ、どうしたの? どこか痛いの?」
カラ松「なあ、さくら」
カラ松くんは、わたしを見ることなく、口をひらいた。
カラ松「さくら、俺のこと、好きだよな?」
「えっ……?」
どうしたんだろう、突然そんなことを訊くなんて。
「好きだよ…? どうしたの、いきなり」
カラ松「いや……なんでもない。ちょっと不安になっただけ。ごめん…」
カラ松くんの手が、するりと離れていく。
「……うん。じゃあ、わたし、お風呂行ってくるね」
わたしは、カラ松くんに背を向けて、お風呂場に向かった。
なんでだろう……
嫌な予感がした。