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【おそ松さんR18】君がため

第17章 こっち見て【十四松+トド松】




それから、わたしは、時間を忘れて、図書館の本を片っ端から読み漁った。

一松くんは、ずっと隣にいてくれて、何をするわけでもなく、ただじっとわたしを見つめていた。

とても心地よくて幸せな時間だった。






このときのわたしは、このあと、あんなことになるとは、思いもしなかった。






一松くんのスマホが震えたのは、図書館に入ってから2時間ほど経ったときのこと。

スマホの画面を見た一松くんは、「…トド松からだ」と呟いて立ち上がった。


「……電話?」


本から顔をあげてたずねる。


一松「うん。僕、ちょっと外いってくるから」

「うん、いってらっしゃい」


トド松くん、どうしたんだろう。

何かあったのかな。


そんなことを考えながら、図書館を出て行く一松くんの背中を見送った。


そのときだった。


???「やっほー!さくらちゃん!!」


聞き慣れた声に顔をあげると、そこには黄色のパーカーの男の子……十四松くんが立っていて、わたしの顔をのぞきこんでいた。


「えっ!じゅ、十四松くん!?」

十四松「十四松でっす!!」

「こんなところで何してるの!?」


十四松くんは、伸びきったパーカーの袖を口にあてて、無邪気に笑った。


十四松「んっとねー、さくらちゃんと一松兄さんのこと尾行してきた!」

「えっ……?」


尾行……?

それってどういうこと?


十四松「あっ、トッティも一緒に来たんだよ〜!」

「と、トド松くんも一緒に……? でも、一松くん、さっきトド松くんから電話が来たって……」

十四松「あーー、あれ?あれは、一松兄さんをさくらちゃんから離すためだよ!」

「えっ…………」


全身から血の気がひいていくのを感じた。

その瞬間、十四松くんの手が、わたしの腕をつかんだ。


十四松「さくらちゃん、こっち来て。ぼくたちと一緒にあそぼー!」

「い……いや……っ」


抵抗もむなしく、わたしは、十四松くんに引きずられて図書館のお手洗いに連れて行かれた。

十四松くんが、男女兼用のお手洗いの扉をひらくと、中にトド松くんがいた。

トド松くんは、壁に背をもたれてスマホをいじっていたが、わたしに気がつくと、スマホから顔をあげてにっこりと笑った。


トド松「やっほ、さくらちゃん」



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