第14章 好き、嫌い【チョロ松】
Side さくら
胸の敏感な場所に感じた刺激によって、わたしの意識は眠りから呼び起こされた。
目を覚まして一番最初に感じたこと。
それは、チョロ松くんの香りだった。
「えっ……な、なに?」
見ると、首もとにチョロ松くんのパーカーが被さっている。
それを引き寄せると、ふわりとチョロ松くん特有の、柔軟剤のような清潔な香りがいっぱいに広がった。
「なんで、チョロ松くんのパーカーがここに……」
チョロ松「あ、起きちゃった?さくらちゃん」
「えっ……」
声がして、身をおこす。……と、わたしのお腹のところにチョロ松くんが覆い被さっていて、わたしの露出した胸に唇を寄せていた。
「なっ、なんで、チョロ松くんがここに……!?」
チョロ松「あー、なんか、眠ってるさくらちゃんを見てたらむらむらしてきちゃって。ごめんね」
「う……ちょっと、」
行為を再開するチョロ松くん。
思わず身体から力が抜ける。
だめだ……
これは……
また、流されてしまうやつだ。
「やめて……ッ」
わたしは、チョロ松くんの腕をつかんだ。
言わなくちゃ。
わたしが、ちゃんと言わなくちゃ。
このままじゃ、昨日おそ松くんとシたときと同じだ。
こんな関係をずるずる続けていたら、わたしも、みんなも、おかしくなる。
だったら、わたしがみんなに嫌われればいい。
みんながわたしを嫌いになれば、わたしに関心がなくなれば、このおかしな関係もそこでおしまいだ。
「わたし……もう嫌なの。みんなのこと、嫌いなの! おそ松くんも、カラ松くんも……チョロ松くんのことも!もう顔を見るのもうんざり」
チョロ松「……えっ?」
チョロ松くんの目が、小さく見開く。
嫌だとか、やめてとか、抵抗をしたことは何度もあったけど、こんなふうにわたしが酷い言葉で拒絶したのは、これが初めてだ。
「わたしは優しいから……だから今までずっと我慢してたけど、でも、もう限界! あなたたちのことなんて、5年前から大嫌いだったの!」
乱暴に言い放った、その瞬間。
チョロ松「ああ……そういうこと」
ぐいっと顎を持ち上げられた。