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【おそ松さんR18】君がため

第13章 君を好きになった理由




そして、さくらちゃんは、僕の顔をのぞきこみ、


「ねえ、トド松くん。トド松くんは、どうして学校に来ないの?」


心配そうにそう言った。


トド松「どうしてって……」

「お兄さんたち、トド松くんのこと、すごく心配してるよ?」

トド松「そんなこと、わかってるよ……」


そう。僕だって、兄さんたちが僕を心配していることはわかってる。

僕を怒るのだって、僕が心配だからだ。

申し訳ないとも思っている。

でも、それを兄さんたちに言えるほど、僕は素直ではない。


トド松「なんかね……嫌になってきちゃったんだよね」

「え?」

トド松「僕らって6つ子でしょ? 同じ顔、同じ身長、似たような名前、……僕は、自分がなんなのか、よくわからなくなっちゃったんだ」


さくらは、はっと息をのんだ。


トド松「そしたらさ、どうしてか家族にものすごく反発したくなっちゃって……あまり家にも帰りたくなくなって」

「うん……」

トド松「さくらちゃんも知ってるでしょ? ちょっと前まで、先生も友達も、みんな、僕らの見分けなんてついてなかったでしょ。今は、間違われないようにパーカーの色を変えてるけど、それがなければ、僕らなんて誰が誰でも同じ。僕と兄さんの誰かが入れ替わっても、誰も気付かないんだ」


なんでだろう。

思っていたことが、次から次へとあふれてくる。


トド松「どこに行っても、みんな、僕を見て言うことはひとつ。『ああ、あの有名な松野の6つ子か』って。しょせん、みんな、僕のことなんて、松野の6つ子の一人としか思ってないよ」


と、そのとき。


さくらちゃんの手が、僕の手に重なった。


トド松「……えっ?」

「大丈夫だよ、トド松くん」


さくらちゃんは、さっきとは一変して、ひどく優しい笑みを浮かべていた。


「パーカーの色なんかなくても、トド松くんはトド松くん。6つ子の一人じゃない。あなたはトド松くんでしょ?」

トド松「……っ」


思わず、息をのむ。


さくらちゃんの笑顔が、言葉が、

あまりにも綺麗だったから。




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