第13章 君を好きになった理由
Side トド松
カラ松「おい、トド松。おまえ、また無断外泊なんてして……どういうつもりだ」
トド松「うるさいなあ…! 別に僕がどこで何しようが勝手でしょ! カラ松兄さんには関係ない!」
……珍しくカラ松兄さんに怒られた。
それが、何故だか異様に腹立たしかった。
僕は、カラ松兄さんを押しのけて、家を飛び出した。
こうなったのは、僕が無断外泊をくりかえしていることが原因だ。
最近の僕は、なんだかむしゃくしゃしていて、学校にもあまり行かず、夜は悪い友達といっしょに夜遊びをくりかえしていた。
父さんや母さんは、僕を「反抗期だ」と言った。
事実、そうなのかもしれない。
理由もないのに、家族がうざったく感じる。
叱られれば叱られるほど、反抗したくなる。
たまに家に帰れば、外泊したことを兄さんたちに叱られる。そして、僕は、また反抗したくて外泊をする。
そんな悪循環がつづいていた。
そんなある日のことだった。
その日、僕は、3日ぶりに家に帰った。
お金が底をつきて、お腹がすいていた。
だから、仕方なく帰宅したのだ。
久しぶりに帰った自宅は、いつもとなんだか様子がちがった。
玄関をあけたとたん、居間のほうから、わっとみんなの笑い声がきこえた。
いつもの男ばかりのげらげらという笑い声じゃない。楽しそうな、嬉しそうな、そんな笑い声。
トド松「これ……だれの靴だろう」
ふと、玄関口に見知らないローファーが置いてあることに気がつく。
お客さんでも来ているんだろうか。
靴を脱いで、談笑の声がする居間のほうへ向かう。
扉を少しだけ開けて中をそっとのぞくと、そこでは、兄さんたちと、可愛い女の子がひとり、テーブルを囲むようにして座っていた。