第13章 君を好きになった理由
それから、4人は語った。
同じクラスの女子生徒数名に、金をわたすからさくらを強姦するように頼まれたということを。
今は、ちょうど、どうやってさくらを襲うかを話し合っていたところだったらしい。
おそ松「ふーん、そうだったんだー」
『も、もういいだろ! スマホを返してくれ』
おそ松「あー、うん。いいよ。そういう約束だったもんな」
俺は、スマホを持ち主にむかって投げた。
そいつは、それをキャッチすると、仲間の3人に『早く行こうぜ』と呼びかけた。
でも。このまま終わると思ったら大間違いだ。
俺は、逃げていこうとするそいつに足をかけた。
そいつは、慌てていたせいか避けられず、派手に地面に転んだ。
更に、その後ろに続こうとしていた奴らも、ドミノ倒しのようにつまづいて転がった。
『なっ、なにしやがる!』
起き上がろうとする男の顔面を、くつの先で蹴っ飛ばす。
『ぐわッ!』
おそ松「スマホ返してやるとは言ったけど、このまま逃がしてやるなんて言ってないよ?」
体勢を立て直して殴り掛かってこようとする奴の、胸ぐらをつかみ、その顔に容赦なく拳を叩き入れる。
次に襲いかかってきた奴も、
そして3人目も、
同じように殴り倒す。
おそ松「言っとくけど、俺、喧嘩だけは負けないぜ。へっへへ」
地面にのびてしまった男たちを見下ろして、鼻の下をこする。
そして、腰を落として、男の一人の顎をつかんだ。
おそ松「これ以上、ひどい目にあわされたくなかったら、あんたらにその話もちかけた女の子の名前、教えてよ」
俺も、一松と同じ。
こうやって、さくらが知らないところで、こんなことばかりしている。
だって、わかってるから。
さくらの心に、俺が入る隙なんてないってこと。