第13章 君を好きになった理由
おそ松「……で。結局、なんの話だったわけ?」
本当はわかっているけど、あえてたずねる。
『そ、そんなの……おそ松くんには関係ないでしょ?』
『そうだよ。おそ松くんには関係ない!』
おそ松「いや関係あるよ。だって、君たち、今カラ松の話してたじゃん。あいつ、俺の弟だし」
ふたりは、『話の内容まで聞かれてたの!?』と言わんばかりに目を泳がせた。
おそ松「……あとさ。さくらをシメるとかなんとか言ってたけど、」
ふたりの肩に腕をかけて、にたりと笑ってみせる。
おそ松「さくらに手出したら、俺、容赦しないよ? それでもいいの?」
『…ッ!』
ふたりは、目を大きく見開き凍り付いた。
……あー、怯えてる怯えてる。
俺は、ふたりの肩から手を離し、よいしょ、と鞄を肩に担ぎ直した。
おそ松「ま、そういうことだから。そろそろ暗くなってきたから、君らも早く帰んなよ? 女の子が夜道歩くのは危険よー」
そのまま、ふたりに背を向けて、校舎をあとにする。
きっと、さくらは想像もしていないだろう。
俺が、さくらを虐めようとしている奴らを、こんなふうに威圧していることを。