第2章 episode I :少女は空に憧れて

「葵、着いたぞ」

『あ……』

話が弾んで学校に着いたことに気がつかなかった。2人といれば、いつだって時間が進むのが早く感じる。

『じゃあ、またね！』

手を振って学校の玄関へ向かう。振り返るといつもクロと研磨は最後まで私を見送ってくれている。小さく手を振りながら。


帰り道は学校の友達と一緒に帰る。クロ達は部活で遅くなるから。



「もうすぐ卒業式だね〜」

不意に友達が空を見ながらぼやいた。同じように空を見上げる。

『そうだね〜』

澄んだ空に、灰色の雲。

「まあ、中学も大体は一緒だから……変わらないけどね」

『そうだね』

「葵は部活とかするの？」

『もっちろん』

「葵は何でも出来るからな〜、羨ましいよ」

『そんなことないよ、私にだってニガテはある』

「ああ〜、そっか、葵算数ニガテだよね」

『そーそ、ニガテニガテ。この世から消えちゃえばいいのに、算数なんて。』

「そしたらお金がなくなるね」

『それは困る』

「私はどうしよっかなあ〜」

『バレー部じゃないの？』

「んん、まぁ入りたいけども……」

『…… 朱鳥？』