【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第2章 episode I :少女は空に憧れて
とは言ったものの––––
『………あさ?』
次に目に飛び込んできたのはまだうす暗い自室だった。いつの間にか眠っていたらしい、全く寝た感覚がないのだけれど……。
時計を見ると6時8分。日課の走り込みを始める22分前。私はランニングウェアに着替え、軽いジョギングをしに外へ出て行った。
冬の冷たい風が頬を撫でる度、上気した身体をほどよく冷ましていく。まだ静かな朝、呼吸の音に、地面を蹴る音。清々しくて、気持ちいい。
川岸で日の出を見届けてから、私は家に戻って学校へ行く支度をした。しばらくして、チャイムの音。そして、
「葵ー行くぞ〜」
クロの声。
ランドセルを背負って、玄関のドアをくぐる。向こうには幼馴染みのクロと研磨がいる。2人は黒い学ランに身を包んで、革の鞄をそれぞれに持っていた。
「お、今日は早いな」
『おはよ!早く起きれたんだ〜』
「こりゃあ雪でも降るんじゃねえの?」
『今日はそんなに冷え込むの?』
「違うよ、葵。クロはバカにしてるんだよ」
『なっ!?ちょっと、小学生をいじめるとは、どーゆーことですかクロロさん』
「人を異界人みたいに言うな」
小学生の時からずっと毎朝一緒に登下校していた。
私はそんな毎日が大好きだった。