【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第2章 episode I :少女は空に憧れて
母はテレビに目をやり、ため息をつく。どうやら監督目当てということを理解したらしい。
父母に収まらず、祖父母ともに体育会系である家系に生まれた私は、無論体育が大好きで外を駆けずり回る少女だった。
中でも両親がしていたバレーに、自分もならうように熱中した。
小さい頃からのバレー愛っぷりに、母は頭を抱え自室から出てきた父は豪快に笑った。
「いいじゃねぇか、葵の人生だ。好きなようにすりゃあいい」
父のその言葉で、私は高校生活を烏野で送ることを決めたのだった。
4年後には、私もあの黒いユニフォームを着てオレンジコートを駆け回りたい。あの小さな巨人をも凌駕する選手になってやろう。
期待と膨らむ夢に心躍らせて、私はその夜なかなか寝付けられなかった。
–––––だけど、私はちゃんと私自身のことをわかっていた。
母も父も、私のことを止めなかったことは後々考えてみると、意外だと思った。
【心臓病】
私が患う、バレーをしていくには厄介な重り。主治医––初瀬川さん––いわく、成長とともにその症状は軽くなってはきているけれど、やはりストレスと過度の運動をすれば息切れなどの発作は起こるという。
そんな私を止めなかったのは、やっぱりもう–––––?
そんな考えが浮かんで、今度は不安で眠れなかった。