【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第2章 episode I :少女は空に憧れて
小学校6年生の時、日課の【バレーの試合鑑賞】をリビングでしていた。その日見ていたのは、ちょうど行われていた"春の高校バレー"全国大会。
生中継で放送されているそれは、熱気に溢れていた。伝染するように私も熱くなる。
「まさに"小さな巨人"!!」
アナウンサーが叫ぶ。カメラはただ1人を捉え、劇的その瞬間を私に見せてくれた。
ブワリ。
空に浮かぶその体躯は、周りの選手よりも小柄。黒のユニフォームはオレンジの床と白い光に映える。
目を奪われる–––––
まさしくそのように、私は一瞬にしてその黒くて小さな巨人に魅入った。
試合後の監督のインタビュー。無論、その矢先はあの黒いユニフォームを着た彼等の親玉へと向けられる。
【烏養 一繋】
烏野という高校で、個性豊かなその獰猛なカラス達を見事に従えた監督。その名を知った時、私はなんとも言えない衝動に駆られ、気づけば叫んでいた。
『私、烏野高校でバレーしたい!』
キッチンで夕食をこしらえる母が訝しげに問う。
「烏野って、宮城でしょう?」
『うん、知ってる!』
さっき言ってたと付け加える。
「そこは凄く遠いのよ?」
『わかってる!』
いや、わかってなかったのだけれども。
宮城県のことについては授業でしたけれど、ただ残念なことにそこが"トウホク"にあって、それがどこにあるのかなんてめっぽう知らなかった。