【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第4章 episode III :孤爪 研磨はいつも傍観。
葵は近くの体育館でするバレー教室に通っている。
両親共にバレープレーヤーだったから、なのかな。
聞けば、「色々やってみたんだけど、バレーが一番しっくりきたから!」と白いバレーボールで遊びながら答えた。
葵のバレーセンスは徐々に磨きが増し、小学生、その上低学年なのに、才能を認められ、有望視されていった。
けど、おれは、少なくともおれとクロは知ってる。
葵のそれは、才能なんかじゃない。
遊んだ日から、次にまた一緒に遊ぶ時までの間に、彼女はいくつも青アザをつけてやってくる。それがまた、端から見てると痛々しくて。
「お前いつか、青鬼みたいになっちまうぞ」
クロがついこう言ってしまう気もわかる……。
おれなら絶対に投げ出してる。なんで、痛い思いしなきゃいけないのか、わからないから。
それから、葵が通ってるバレー教室が、チームを作ってとある大会へ出場した。
本当に、ささやかな大会だった。
もちろん、おれもクロも観にいった。
だけど、コートの上の葵を観て、二人して目を見開いてしまった。
まるで、"別人"––––
どんなトスも打って、どんなアタックも拾って……。
「おいおい、マジであそこにいるの、あの葵か?」
「た、ぶん……」
だって、いつもの葵は、自分の足に引っかかって転ける程なのに。