第2章 繊月 -今に繋がる過去-
扉が自動で閉まり、走り出すのを見届けてから歩き出す。
実家は表通りから一本中に入ってすぐの場所にあるから、タクシーで帰るときはいつも停まりやすい表通りで降ろして貰っていた。
「お、香奈か……?」
玄関まであと数メートル、というところで名前を呼ばれて、ぴたりと足を止める。
振り返ると、そこには懐かしい顔があった。
「……繋心?」
「マジで戻ってきてたのか、こっち」
「……うん……」
驚きながら笑顔を浮かべる繋心に反して、私はあいまいな作り笑いを浮かべることしか出来ないでいた。
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