• テキストサイズ

【HQ】No Border

第4章 上限の月-夜に沈む-






10分ほど歩いて嶋田マートに着くと、ちょうど表に嶋田くんが出ていた。


「嶋田さん!今日もお願いします!」

「お、忠、来たのか。って、あれ、香奈?」


後ろから歩いて来た私に気付くと、嶋田くんはひょいと首を傾げた。
私は月島くんにありがとうと御礼を言って荷物を受け取ると、それを嶋田くんに渡した。


「これ、お父さんがおじさんに借りてた本。返すように頼まれてさ…」

「お、わざわざ悪い。渡しとくよ」

「お願い。あ、中に御礼入ってるってお母さんが言ってた」

「マジか、気遣わなくていいのに。って、あれ、今日この後飲み会だよな?」

「そ。嶋田くんは後から来るの?」

「おー、どうせ遅くまで飲んでるんだろ?この後は忠の練習もあるし、気が向いたらそのうち行くわ」

「解った。じゃ先に行ってるね」


そう言うと、嶋田くんは急ぎ足で自宅の方へと戻り、山口くんは「じゃあ、また明日ね、ツッキー!」と言って裏庭の方へと消えて行った。


「……」


月島くんと二人この場に残された私はどうにも居心地が悪くなり、ぐるっと勢いよく大げさに体を方向転換させる。


.
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp