第3章 三日月 -月の満ちはじめ-
「遠征?」
「あぁ、この前一泊だけな。で、今度は一週間あるんだけどよ、その前に個人練習したいってヤツラが多くてな……」
「ふーん……」
個人個人で課題を見出した生徒達は、それぞれ目的に合った練習メニューを希望していて、
繋心一人では指導と管理が手に負えなくなっているらしい。
でも、私は指導なんて出来ないし、そもそも彼らをよく知らないしと言うと、ただのボール出し一つでも人手が欲しいくらいなんだよ、と返された。
この間と同じようにみんなに挨拶をして、私は彼らの練習に付き合う。
ウォーミングアップをしていた月島くんのところへ行き、昨日はごめんねと改めてお詫びを言うと、首だけを動かした会釈で返事をくれた。
無視はされていないのだろうけど、予想通りそっけない態度。
彼をあまりよく知らないのに、月島くんらしいと思ってしまった。
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