第3章 三日月 -月の満ちはじめ-
「香奈ー!!朝よ、起きてー!!」
「っ?」
突然耳に飛び込んできた大声と、目を眩ませる朝日に、まどろんでいた体は飛び跳ねる。
顔をしかませて目を細めると、母親が私の布団を剥いで、カーテンを思い切り開けていた。
「ほら、休みだからってダラダラしないの!早く顔洗っちゃいな!」
「……おかーさん……元気だね。昨日何時に帰ってきたの……」
「ふふん、1時よ、午前様よ。若いでしょー、お母さん」
「……そうだね」
何故か得意げな母に食い下がる気もせず、まだ休んでいたい体をのろのろと起こす。
「あっ、香奈っ!牛乳!牛乳無くなったから!買ってきてっ」
「……マジか……」
朝はシリアル派なのに、と毒づいてから大きな欠伸を一つ漏らして、首筋をぼりぼりと掻いた。
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