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【赤髪の白雪姫】きみの瞳に恋をする

第6章 交錯する想い



最初にオビが瀬那さんを薬室へと運んできたときは、そのぐったりとした様子に、そしてそのあまりの顔色の悪さに、かなり重症なことは一目みてわかった。

あれから数日で瀬那さんの熱は引き、肩の傷も大きくは痛まないくらいになってきたみたい。
といっても、これは全部オビから聞いた話なんだけれど。

瀬那さんは色々と事情のある方だそうで、瀬那さんのお部屋には薬室長から入室が許可されていない私はお世話に入ることができない。

(ゼンのお兄さんに似ているんだから、きっと偉い人なんだろうな)

相変わらず、部屋から勝手に出ないようにと、オビに見張り役がまかされてるけど、今は薬室長が瀬那さんの手当てをしているので、薬室での私の仕事を手伝ってくれている。

「お嬢さん、この本は向こうの棚に戻すのでいいかい?」

「うん。向こうの、その本棚で大丈夫!ありがとうー。助かるよ、オビ。」

「いやぁー、こっちのほうが体も動かせるし、瀬那殿のお守りをするよりずっといいよ。」

オビは口では邪険な事を言っているけれど、瀬那さんの見張りと言いながら、頭にのせてぬるくなったタオルを交換したり、お水を飲ませたりしているって薬室長が言っていた。

(オビはよく気が付くし、案外世話焼きだもんね。)

「お嬢さん、どうしたんですか?一人でニヤニヤして。」

「えっ。私、にやけてましたか?」

自分でも気づかずに口元が緩んでしまってたみたいだ。

「ううん、なんでもないよ。」

「えー、ほんとにー?なにかいいことでも??」

そうやって、私を揶揄うようなオビは、いつも楽しそうだ。

ふと、薬室長の机の上に、小さな小瓶があるのに気付いた。
いつも瀬那さんにもっていっているものと同じ物みたい。

「ほんと、なんでもないよ。あ、オビ、薬室長の机の上の小瓶、きっと瀬那さんのお薬だと思うんだけど届けてあげて?」

薬を忘れたことに気付いても、目の前に脱走してしまうかもしれない人を一人置いて薬室長が戻ってこれていないのかもしれない。

「あぁ、これ?確かにいつも瀬那の部屋にも置いてあったかも。仕方ないな、持って行って差し上げますかー」

オビはそう言って、伸びをすると、薬室の奥の秘密の扉の中へと慣れた足取りで消えていった。
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