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【赤髪の白雪姫】きみの瞳に恋をする

第5章 嘘つきたちの再会


(((!)))


『イザナ殿下には内緒にしておいてあげます。』

口元に人差し指をあてて、微笑めば、ゼンはまるで子供のように、こくりと頷いた。


「…うん。」


頬も耳も真っ赤にしたゼンの、その銀髪にもう一度だけ指を通してから手を離した。


『さてと、ゼンにこれを持ってきたんだった。』

私は、数枚の紙を閉じたものをゼンへと差し出した。

『すでに伝わっているかと思うが、先日東の外れで捕らえられた賊に関する報告書だそうだ。先ほど、担当の兵と偶々あってな。ちょうどここへ向かうところだったから、預かってきた。』

これには、尋問から得られた情報や、彼らの身の上がどのようなものであるかが書いてある。

――彼らは、昔は、貴族の身分をもっていた家柄だ―と。




「そうだったのか。ありがとう。そうだ、もしよければ、今日の夕食は一緒にとらないか。」

主が声をかけた。

(…東の外れの賊…あいつらのことか。)


『いや、私はこれで失礼するよ。ちょっと、疲れていて…。また誘ってくれ。』

よく見れば、先ほどよりも瀬那の顔色が青白く見える。

「それもそうだな。ずっと城の外だっただろうし、ゆっくり休んでくれ。まだ都合がつくときには一緒に食事しよう。」

『あぁ、また是非。』


そういうと、瀬那 が綺麗な装飾の施された扉から部屋を後にした。


「オビも、その恰好のままだと風邪をひく。引き留めて悪かったな。お前も今日は早く休め。」

主は表情こそ、平静を装っているが、耳はまだ真っ赤なままだった。


「ありがとうございます。主。あ、あと、俺も戻ってきたばかりなので、今日は部屋で食事をとらせていただきますよ。」


そう言って、俺はいつも通りに窓から部屋を後にすることにした。



「って、あいつ、雨の中、外から帰らなくてもいいだろうに。」

そのゼンの声はオビには届かなかっただろう。

「…ぷっっ。ゼン、顔真っ赤。」

ゼンの表情が幼いままで、思わず吹き出してしまった。

「うるさい!ミツヒデ!…あんなこと…瀬那に…って、子ども扱いされたら、こうなるだろ!」


木々の姿はすでにそこになく、
仕事にもどるから出ていけ!と、俺までも追い出されてしまったのだった。
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