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【赤髪の白雪姫】きみの瞳に恋をする

第5章 嘘つきたちの再会


「オビ、お前、今、瀬那のこと、気品高いご麗人っていったか…?」

主が全身で動揺している。


「え、どうみても、ご麗人…。」


目の前の人物に目を向ければ、

やはりあのトーマだが、

騎士の衣装に

木々嬢よりも少し上背があり、(つまり主よりも背が高く)

主はこの人を兄上と呼び……


――――あぁ、そういうことか。


「オビ、なんでこの格好の瀬那を一瞬で女性と看破できたんだ!?」

エスパーなのか??と、ミツヒデの旦那まで、そのブラウンの瞳をタジタジにして言う。


すると、木々嬢がため息交じりに、

「ゼン。ミツヒデも。瀬那は、騎士の格好をしているが、まぎれもなく女性だ。可愛らしい顔立ちをしているのだから一瞥で女性と言われても何ら不思議などないだろう。」

と淡々と、そしてきっぱりと言ってのけた。

お前たちの目は節穴かもしれないけどな。と。

その視線は冷たく鋭いものだった。

(…そんなことをこの二人に言えるのは木々嬢だけだな…。)


「「木々…」」

ふたりとも悲しそうな少し潤った瞳をしていた。


『まぁまぁ、木々それくらいにして。この騎士の格好をしていて一瞬で看破されることは珍しいし、男装には自信があったのにな。』

おどけてトーマ…いや、瀬那が言う。

『少々悔しいが、社交辞令でも、褒められて悪い気はしない。』

と、したり顔でこちらにちらりと視線を送ってきた。



「たしかに、初対面で気品高いご麗人って…。」

(ただの口説き文句だよな。)

と、ミツヒデの旦那が少し考え込むように顎に手を当てて

(中性的で、男にも見間違える瀬那に向かって、いや、女性とわかっていても、飄々としていられるなんて。)

「オビ、お前、ほんとにすごいな…。」

尊敬の眼差しで、俺をみていた。


一方で、木々嬢からの言葉が突き刺さったままの主は、だんまりだ。

「節穴…。」

しょんぼりと椅子の上にひざを抱えて小さく丸まっている。

瀬那が主に近づく。

『ゼン、こっちを向け。』

「あ、あに…瀬那・・・。」

主の頭の上に手を伸ばし、優しく撫ぜ、

『クラリネス王国の王子たるもの、これしきのことで泣いてはいけませんよ。』

―――主の目じりに溜まって涙に唇を寄せた。

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