第1章 「謎の子供」
やっと外に出られる。
15時過ぎ、私はエルヴィン団長に連れられて、訓練生が兵士になる為の訓練所に訪れた。
今は格闘術の真っ最中だった。
エル「ここが訓練所だよ」
『へぇ…すごい』
みんな真剣に取り組んでいた。
兵士になって、巨人から人類を守る為に。
そうーーー
私がまだ怪我が治っていない頃、シガンシナ区という街で超大型巨人が出現したらしい。何人も死んだそうだ。
可哀想に……。
また超大型巨人が襲ってくるかもしれない。だから、いざというときに巨人と戦えるようにみんな真剣に取り組んでいるんだ。
『私も……』
エル「ん?」
『私も戦う』
エル「!?」
エルヴィン団長は驚いた顔をしている。
エル「なぜ…戦いたいんだ?」
『前に、夢の中で私の名前を呼んだ人がいたって話したよね。その人に、'戦え'って言われた…』
エル「……!」
『戦わなきゃ…いけない気がする』
戦えば、何か思い出すかもしれない。
エル「分かった。だが、あと1年待ってくれ」
『なんで?』
エル「1年後にまた訓練生を迎え入れる。その時に入団してくれ。途中から始めることは認められていないからな」
『うん…分かった。1年待とう』
私はエルヴィン団長に従った。
決まりならば、それは仕方ない。
でも……さっきからなんだろう……。
身体中が力でみなぎっている。
エル「もう…日が暮れるな。帰ろう」
『うん』
今日は、綺麗な満月だ。