第6章 「正体」
私は、リヴァイのおかげで死なずに済んだ。
生きる意味を見つける事が出来たからだ。
エリ「副兵長……」
『……』
しかし、記憶が全て戻ってから一ヶ月…
私はしばらく気持ちが沈んでいた。
母は、
私を手放した時どんな気持ちだったんだろう。
父は、どんな人だったんだろう。
何故母は人間の父と恋に落ちたんだろう…。
『会いたいな…』
エリ「……」
父はきっとこの世界の人間ではない。
死神がいない世界だもの、
ここの世界にいたら母とは出会っていない。
『家族…か…』
この世界も残酷だ。
巨人という脅威に支配されていて、
多くの命が食われていく。
目の前で、家族が巨人に食われたら……
ーーーコンコンッ
『…はい』
エ「ミクリヤさんっ」
入ってきたのは、エレンだった。
私の事を好きと言ってくれた唯一の人…。
エ「元気…無いですね」
エリ「仕方ないさ」
エ「元気出してください!」
『エレン…』
エル「こらエレン、無茶を言うな。家族を失う気持ちは重いんだぞ?」
エ「俺だって家族はいません」
『……え、だってあなたにはミカサが』
ミカサがいるのでは…
エ「ミカサは本当の家族ではないですから。俺の母は巨人に食われ、父は行方不明なんです」
巨人に…食われた?
そんな、エレンのお母さんが…。
『…そ、か…』
エレンもミカサも、家族はいないんだ。
私と同じ……。
この心の痛みを分かる人達が、
こんなに近くにいたなんて。
私…情けない…。
『よし…仕事やろう』
エリ「!」
エ「え、ミクリヤ…さん?」
私は書類が乗った机に向かい、座った。
『ごめんねエレン。ありがとう』
エレンのおかげで、
気持ちを切り替える事が出来た。