第1章 「謎の子供」
自分は記憶喪失だと知り、落ち着きを取り戻したメフメット。エルヴィンはホッとすると突然、ドアの開く音がした。
ピ「様子はどうだ?」
ピクシス司令官だった。
エル「ハッ、それが…記憶喪失らしく…」
ピ「なんだと?」
ピクシス司令官は子供を見た。
…強い眼差しだ。
人見知りなのか、痛い程に突き刺さる。
ピ「初めまして。ワシはドット・ピクシス。君は?」
『…ミクリヤ・メフメットです』
ピ「本当に何も思い出せないのか?」
『はい…思い出そうすると頭が痛くなって…』
ピ「困ったな……」
記憶が無いのでは何も聞き出せない。
でもいずれ思い出すだろう。
エル「思い出すまで待つしか方法は……」
ピ「ああ、そうだな…」
後日、緊急会議の前にミクリヤを医師に診てもらった。診断結果は精神的苦痛による記憶障害だった。
これも会議で報告された。
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ーーここは、どんな世界なのだろう。
『足が治ったら…外へ出てみようかな』
私は足を怪我している。
何故怪我したのかさえも思い出せない。
何もかも思い出せないのは、辛いな………。
一粒の涙が頬を伝う。
しばらくの間ミクリヤは部屋に篭った。