第1章 「謎の子供」
エルヴィンは、子供が目を覚ましたことを知らせにピクシス司令官の元へ向かった。
ーーーコンコンッ
ピ「入れ」
エル「失礼します、ピクシス司令」
ピ「どうした」
エル「例の子供が目を覚ましました」
ピ「そうか。やっと起きたか」
ピクシス司令は席を立つ。
おそらく上に報告しに行くのだろう。
ピ「そのうち緊急会議が開かれるだろう。その時はエルヴィンも出席するようにな。報告を済ませたら子供の居る部屋に寄る。それまで子供の様子を見ていてくれ」
エル「ハッ!了解!」
エルヴィンはピクシス司令の部屋を出て、急ぎ足で部屋に戻った。
ーーーコンコンッ、キィ…
静かに部屋に入る。
ミクリヤはベッドから窓の外を見ていた。
『あ…』
エル「今日は…良い天気だな」
『…うん…』
「……」
沈黙。
エルヴィンは耐えられず質問した。
まずは……
エル「メフメットは、何処から来たんだ?」
単刀直入に聞いてしまった。
性別を聞こうとしたが、なんだか失礼な質問だと思って聞けなかった。
するとミクリヤは頭を抱え固まった。
『私…私は……え?』
エル「どうした?」
『何処から……来たんだ……?』
えーーー?
エル「分からないのか?」
『わ、分からない…私は…誰だ…っ?』
エル「自分の名前は分かるじゃないか」
『ゆ、夢で……』
エル「夢?」
『夢で誰かが私を呼んだんだ…ミクリヤって…だから自分の名前は思い出せた…。だけど私は、誰……?』
まさか、こんなことになろうとは。
ミクリヤは記憶喪失になっていたのだ。
『何故ここにいる…?ここはどこ?分からない…私自身が何者なのかも…っ!』
エル「もういい!よせ」
『……っ?』
エル「これ以上頭を悩ませるとパニック障害を起こす。今はとりあえず落ち着くんだ。メフメットは記憶喪失なんだよ」
『記憶…喪失?』
エル「ああ、そうだ」
『そう…か』