第1章 「謎の子供」
調査兵団本部。
エルヴィンは子供を空き部屋へと運び、
ベッドに寝かせた。
…この事は報告しなければならない。
エル「まずは上官の所へ行くか…」
ーーーコンコンッ
誰かがドアをノックした。
エル「はい…?どうぞ」
?「入るぞ、エルヴィン」
入ってきたのは、ピクシス司令官だった。
エル「ピクシス司令!」
エルヴィンはすぐに敬礼をした。
ピ「君が子供を抱えているのを見かけてね、居所を聞いて来たのだが…」
エル「ハッ、今から報告に伺うところでした」
ピクシス司令官に見られていたか。
まあ仕方ない。隠せるものではないからな。
ピ「どれどれ…ほう、なかなかの美人さんだな。東洋人にも見えるが…君は何処からこの子を連れてきた?」
エル「壁の…外側からです…」
ピ「………」
壁の外側から。
その言葉に驚かない人はいない。
ピ「詳しく話せ」
エル「はい。子供は巨人のいる領域に倒れていて、怪我をしていました。しかし、返り血と見られるものが服に付いていたことから巨人と戦った可能性が高いのですが……」
ピ「なんだ」
エル「武器が…武器がありませんでした。子供の回りには何処にも…。戦ったのならどうやって戦ったのか分からないのです」
ピ「…この事は私から上に報告しておこう」
エル「あ、ありがとうございます…」
ピ「子供が目を覚ましたら知らせてくれ」
エル「はいっ!」
そう言うとピクシス司令官は部屋から出て行った。ふぅ、と溜め息を吐いたエルヴィンは、目を覚まさない子供を見つめる。
子供は左手首にブレスレットをしていた。
細かい模様と知らないマーク、そして
ルビーのような赤い宝石が埋め込まれていた。
……謎だらけだな。
何故壁の外側に居た?
何者なんだ?
巨人と戦ったのか?
戦ったのなら、どうやって戦った?
聞くことはたくさんあるが…まず、
エル「どっちなんだ?」
性別が分からないんだな……。