第1章 「謎の子供」
カンカンカンカンカンッ!
調査兵団が帰還した。
鐘が鳴り、正面の大きな門が開く。
ザワザワ……
野次馬が道に群がる。
住民は調査兵団を見た途端、顔を青ざめた。
何故なら
100人以上で調査に向かった筈なのに、帰ってきたのは20人もいなかったからだ。
包帯を巻いた兵士、
歩けず運ばれている兵士、
心に傷を負った兵士…。
「これだけしか帰って来れなかったのか……」
「今回もひどいな……」
その光景を、5年後調査兵団となる
エレン・イェーガー、
ミカサ・アッカーマンが見ていた。
エ「なぁミカサ、あれ見ろよ」
ミ「え?」
エレンが指差した方を見ると、1人の兵士がまだ若い子供を抱えていたのだ。子供はぐったりしている。
エ「なんで子供抱えてんのかな?」
ミ「血が…怪我しているね」
エ「なにがあったんだろうな…」
何故子供が血まみれで兵士に抱えられているのか、2人には謎だった。
「ひでぇもんだな…」
すると、エレン達の目の前にいる住民が口を開いた。
「壁の中にさえいれば安全に暮らせるのに…兵士なんて税の無駄遣いだ……」
「まったくだ…」
「これじゃあオレらの税でヤツらにエサをやって太らせてるようなもんだよなぁ」
ーーーゾワッ
ミ「!!?」
ーーーゴッ!!
エレンは怒り、その住民を殴った。
「なにすんだクソガキ!!」
ミカサはヤバいと思ったのか、エレンの襟元を掴んで颯爽とその場から逃げた。
エ「おいっ……!」
2人はもう兵士に抱えられた子供のことはすっかり忘れていたのだった。