第1章 「謎の子供」
845年。
その日、調査兵団は壁外調査に出ていた。
「ーー総員、戦闘用意!!」
「目標距離100!!全攻撃班!!立体起動に移れ!!」
「人類の力を!!思い知れッッ!!」
+++
エル「ハァッ…ハァ…」
エルヴィンはこの時まだ兵士の1人で、怪我はしたものの、なんとか生き延びていた。
しかし、エルヴィンのいた班はエルヴィン以外全滅した。
エル「何てことだ…」
とにかく他の班と合流しなければ。
エルヴィンはひたすら馬に乗り草原を駆けた。
すると、気になる影が視界に入った。
人が倒れている。
いや、兵士の死体ならそこら辺に転がっているが、アレは違う。
緑のロープを被っていない。
一般人…?いやいや、まさか。あり得ない。
エルヴィンは恐る恐る近付いた。
エル「!!」
なんということだろう。
倒れていたのは、まだ10代と見られる子供だった。
戦ったのだろうか…。
服には血が付いていてぐったりしている。
エル「なぜ子供が……」
ーーーパシュウウウウウゥ~…
遠くの方で信煙弾が上がった。
撤退命令が出たのだ。
エルヴィンはその子供が生きていることを確認すると、
エル「…この子は人類の希望だ」
その身を大事に抱き抱え、馬を走らせた。